2017年12月08日

伝説の叔父

伝説の叔父

 わが一族では、伝説的に語られる叔父。
 ミカン箱を机に勉強し、かんなわから旧制第五高等学校を経て、東京帝国大学の法学部に入学した。
 外交官を目指していたそうだ。
 そして、入学から1週間ほどして、召集令状が彼のもとに届いた。

 一族はみな、同じ墓所に入っているが、この叔父だけは別の墓石をしつらえられて、祭られている。
 ただし、その墓所に遺骨は収められていない。
 第二次世界大戦後シベリアに抑留され、その後北朝鮮で病死し、故国に帰ることができなかったと聞き及んでいる。
 はかなくも、叔父の夢は異国の地に散り果ててしまった。

 叔父の苦しみを少しでも理解しようと、この夏の命日にお参りする前に、山崎豊子の「不毛地帯」を読んだ。
 シベリア抑留は、想像を絶する過酷な環境だった。
 怜悧なたたずまいのこの叔父は、どのような辛酸をなめたのか。

 私が2歳のころに亡くなった祖父は、私をそれはそれはかわいがってくれたという。
 私の叔母は、この叔父の遺志を是非私に継いでほしいと、ことあるごとに語っていた。
 残念ながら私は全く違う道に進んでしまったけれど、叔父が生きていたら、今のこの世界をどのように見つめるだろうか。
 

 


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Posted by tak at 19:41│Comments(2)教育
この記事へのコメント
はじめまして。突然コメントしてすみません。

シベリア抑留。
昔、小松茂朗先生の「シベリア黙示録」と言う本を繰り返し読んだ事があり、その時の苛酷な内容が甦ってきました。

叔父様、さぞや御無念だったと思います。
Posted by 翠川 京兵 at 2017年12月08日 21:50
翠川さんへ
 
 コメントありがとうございます。
 「シベリア黙示録」、書店で探してみます。
 叔父はもちろんのこと、夢に向かって頑張ってきた長子をこうした形で失ったことは、祖父にとっても無念だっただろうと思います。
 
Posted by taktak at 2017年12月09日 10:08
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