2017年12月26日
おもてなし英語診療回顧録20170714

今回の主役は、タジキスタン語しか話さない20代の女性患者さんと、タジキスタン語と英語しか話さない付き添いの男性。
付き添いの方は"She is my X-wife."とおっしゃっていたので、元奥さまらしい。
患者さんも付き添いの方も、眉目秀麗だった。
まずはこれだけ、タジク語で
こんにちは=アッサロム・アレイクム
ありがとう=ラフマト
さようなら=ハイル
近所の国立病院機構の病院で診療を断られた、とのこと。
「あっちの病院に行ってみてもらえ」と言われて、当院にお越しになった。
本人はタジキスタン出身の若い女性で、主訴は頭痛、タジキスタン語しか話せない。
付き添いの方は同じタジキスタン出身の男性で、ちょっと癖のある英語とタジキスタン語しか話せない。
しかも、付き添いの方には、トラウマがあった。
過去に国立病院機構の病院と大学附属病院をたらいまわしにされた。
いろいろ検査をして数十万円払わされた上に、なにも改善しなかったと訴える。
昼休み返上で片言の英語で対応したけれど、お互い満足できる診療になったのかどうかわからない。
タジキスタンにいたころは定期的に点滴と処方を受けていて調子が良かったんだが、とおっしゃる。
調べてみると、定期処方はビタミンCとブドウ糖だった様子。
もしかしたら、タジキスタンの食生活はビタミンCが不足しているのだろうか。
壊血病がタジキスタン国内に蔓延しているのだとしたら、これは社会的な問題だ。
輸液にブドウ糖とビタミンをいれて使ってみると、頭痛は良くなったけど吐き気が出たとか。
このときの反省は、医学英語の単語を知っていてもあまり通じない、ということ。
英語アレルギーの医師と非英語nativeの患者さんが、英語で分かりあうのって難しい。
"nausea"(吐き気)や"vomit"(吐く)は通じなくて、"throw out"と表現していた。
きっと、"throw up"(俗語で、吐く)と言いたかったんだろうな。
"diarrhea"も通じず。
結局、身振り手振りが一番有効だった。
それから、治療の選択肢を説明する際に、"Can you give me a warranty?"と言われたのには閉口した。
治療が100%効くかどうかの保証なんて、初診でいきなりはできないよ。
精一杯知恵は絞ってるつもりなんだけど。
頭痛なので、ということで、痛み止めを処方しようとしたら、
"She needs not pain killer, but what the cause is."
とのこと。
頭部CTを撮影して、少なくとも頭蓋内出血はないことを確認した後だけに、さらに原因を究明しろと言われると辛かった。
Posted by tak at 01:33│Comments(0)
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